個人年金保険を中途解約すると損?FPが教える解約したい人がしないで済む4つの方法

老後の生活が少しでも潤うようにと、コツコツ払い込んできた個人年金保険。

でも、「子供が私立大学に入ったので高額な入学金が必要になった」、「転職して給料が下がったのでもう保険料を払い続けられそうにない」など、状況の変化で解約したくなってしまうこともあるでしょう。

個人年金は他の保険に比べて保険料も保険金も額が大きいので、まとまったお金が必要な時に解約したくなるかもしれませんが、解約してしまうと元本割れする可能性が高く、せっかく払い続けた保険料を損してしまうことになります。

ここでは、解約を考えた時に解約せずにお金を準備したり、保険料の負担をなくしたりする方法や、解約するならベストなタイミングはいつなのか、など解約について詳しく説明していきたいと思います。

個人年金保険を中途解約するとどうなる?

個人年金保険は20年や30年など長期で保険料を払い込み、その後も長く年金を受け取るため、保険会社との契約は非常に長期間になります。

保険に加入した若い頃から、何年何十年と経過する中で、当然契約者本人の状況も色々と変化していくでしょう。

ですが、まとまったお金が必要だから解約してしまおう!と安易には考えないでください。

解約すると、ほとんどの場合が払い込んだ保険料より少ない金額しか受け取れなくなります。

そして当然ながら、解約すればそこで契約は終了してしまうので、将来年金は受け取れません。

それならいったん解約して、お金に余裕ができたらまた加入したらいいのでは?と思われるでしょうか。

例えば30歳から60歳までの払込期間で加入していた保険を40歳で解約し、45歳で再度加入するとします。

前の保険では30年で毎月少しずつ払い込めたはずが、半分の15年間の払い込みで同じ年金を受け取ろうと思うと、毎月約倍額の保険料を払わなければならなくなりますよね?

解約するということは、将来のリスクに備えられなくなるだけでなく、再加入のハードルも上がってしまうということなのです。

では、解約するとしたらどうなるのかを次で詳しく見ていきましょう。

解約したら解約返戻金を受け取れる

個人年金保険は保険料というかたちでお金を貯めていく貯蓄保険なので、解約すれば貯めていた分のお金が返ってきます。これが解約返戻金です。

解約返戻金はそれぞれの保険で、加入からの経過年数ごとに返戻率が決められているので、その返戻率に従って額が決められます。

返戻率はどれくらい?

アフラックの個人年金保険を例にとって見てみましょう。

【30歳~60歳までの払込期間、毎月2万円の保険料支払い、60歳からの10年確定年金】
・加入から5年後35歳で解約の場合:払込保険料合計120万円、解約返戻金101万7,275円、返戻率84.77%、保険料との差額-18万2,725円
・加入から15年後45歳で解約の場合:払込保険料合計360万円、解約返戻金339万9,030円、返戻率94.41%、保険料との差額-20万0,770円
・加入から24年後54歳で解約の場合:払込保険料合計576万円、解約返戻金573万4,481円、返戻率99.55%、保険料との差額-2万2,219円
・加入から25年後55歳で解約の場合:払込保険料合計600万円、解約返戻金600万9,443円返戻率100.15%、保険料との差額+9,443円

このように、解約が早ければ早い方が返戻率は低くなります。

この一覧を見ると、返戻率が100%未満から100%を超える分岐点は54歳から55歳であることがわかりますね。

この保険の場合では、54歳で解約するならばあと1年頑張って払い続けることで、損をしないで済むことになります。

ですが1点注意していただきたいのは、返戻率は年々上がるものの、加入から5年後の解約の場合は実際のマイナスは約18万円ですが、15年後の解約の場合は約25万円の損失になっています。

この保険の場合は実際のマイナスが最大値になるのがだいたい45歳頃になるので、15年後に解約するならば5年後の解約の方がまだ傷は浅いと言えます。

とは言え、解約を前提に契約する人はいないでしょうから、やはり解約するならば少しでも返戻率が上がるのを待ってからの方が損は少ないということですね。

※参考ページ:Aflac個人年金保険の専門サイト

解約返戻金にも課税されるの?

個人年金を受け取ったら、払った保険料より利益になった部分に税金がかかります。

では、解約返戻金の場合にも課税されるのでしょうか?

返戻金の利益に当たる分のみ課税対象

解約返戻金の場合も、返戻率が100%を超える時はその利益分に所得税がかかってしまいます。

解約返戻金は一時所得になるので、解約返戻金-払込合計保険料-特別控除50万円×1/2が課税される金額です。

ですが、中途解約の場合は元本割れする場合がほとんどですし、利益が出ていたとしてもそれほど大きな額になることはほぼありませんので、税金に関してはあまり心配しなくても大丈夫です。

受取人によっては全額贈与税の対象になる場合も

ただ、課税の種別が所得税になるのは、契約者=受取人の場合です。

契約者が夫で受取人の指定が妻というような、契約者と受取人が別の場合は贈与税の対象になります。

贈与税の場合は所得税とは違い、解約返戻金全体が課税の対象になるため、高額な税金がかかる可能性があります。

税金のために、解約返戻金で当てにしていた額より実際の受け取りは少なくなる可能性があるので、受取人が契約者と別人になっている契約の場合は注意が必要です。

解約の前に受取人について確認をしてからにしましょう。

解約せずに済む4つの方法

前項でも説明しましたが、解約返戻金はほとんどの場合が元本割れしてしまいます。

でもどうしても解約するしか‥と思い詰める前に、他に解約せずに済む方法がないのか見てみましょう。

①契約者貸付制度でお金を借りる

もし返す当てがある、ほんの短期間だけ必要、などの場合には保険会社からお金を借りることができます。契約者貸付制度といって、解約返戻金の範囲内でお金を貸してもらえる制度です。

あくまで借りているだけなので利息はつきますが、カードローンなどに比べると利息は安いほうなので、そこもメリットと言えます。

ですが、解約返戻金の額ギリギリまで借りてしまうと、利息がついた時点で限度額を超えてしまい、保険を解約されてしまう可能性があります。

利息の分もしっかり計算に入れた上で貸付制度を利用しましょう。

②保険料支払いを自動振替貸付でまかなう

解約返戻金のある貯蓄型の保険には、自動振替貸付という制度もあります。

これは保険料が期限内に払い込まれなかった際に、自動的に保険会社が保険料を立て替えてくれる制度です。

ちょっとお金が間に合わなかった時や、口座への入金を忘れてしまった時などとても便利ですが、こちらの制度も利息がかかります。

解約返戻金にあたるお金から立て替えているので、元々自分のお金なのに利息がとられるの?と思うかもしれませんが、いったん保険会社に支払ったお金ですので、保険会社に立て替えてもらっているということになるのです。

自動的に振り替えられるので、特に事前に連絡などがくるわけではないのですが、お知らせのハガキは届くようです。

ですので、知らないうちに立て替えられていて利息がすごいことになっていた!ということはないとは思いますが、保険会社からのお知らせはきちんと内容を確認しておく方がよいですね。

③年金額は減るが払済保険に変更する

払済保険とは、保険料の払い込みをやめて、これまで積み立ててきた分だけで将来年金を受け取れるものです。

年金受け取り開始時期は変わらず、受取金額が変わります。

契約時の予定よりは少なくなりますが、払済保険にした時点から保険料を支払う必要がなくなるので、毎月の保険料が負担の方にはおススメの方法です。

こちらは解約するわけではないので、返戻金の返戻率も上がっていきます。

注意点は、特約などは失効してしまうこと、一度払済保険に変更すると元には戻せないことです。

もしまた、将来受け取りの年金額を増やしたいと思っても、また新規で加入しなければなりません。

新規でとなると、年齢も上がっていますし、健康状態も加齢とともに悪化している可能性もあり、以前と同じ内容では難しくなります。

それらのリスクも踏まえた上で利用しましょう。

④年金額を減らす、特約をはずす

例えば年間120万円受け取れる予定の保険を、年間100万円に減額すれば、その分保険料を安くできます。

また、医療保障などの特約をつけている場合は、特約をはずすことでもいくらか保険料を下げることができます。

特約をはずせばその分の保障はなくなるのでそこは注意が必要です。

保険料をまったく払えないわけではないけど、少し金額を抑えたいという方にはこの方法がおススメです。

解約するなら1番損の少ないタイミングは?

では結局、解約するなら1番損の少ないタイミングはいつなのでしょうか?

『返戻率はどれくらい?』の項でのシミュレーションでは、払い込み完了時期に近づくほど解約返戻金は多くなることがわかりましたね。

ですが、実際の損失額で言えば加入から15年後あたりが最も損失の多い時期になっていました。

それぞれの保険によって解約の返戻率が違ってくるので一概には言えないのですが、どの保険の返戻率の変化もだいたいは似た構図になるだろうと思われます。

加入から15年後というと、子供が成長して必要な学費が高くなってきている時期だったり、転職を考える時期だったりする可能性が高いです。

そのため解約の可能性も高い時期なのですが、もっとも損な時期に解約してしまっては、払い続けた保険料すら全て返してもらえない状態に。

そのような場合は、先ほど紹介した解約せずに済む方法をぜひ検討してみてくださいね。

個人年金保険解約の方法は?

それでもやはり解約するしかない、という方に、ここからは解約の方法を説明していきます。

個人年金保険を解約するには

まずは代理店の担当者に解約したい旨を伝えましょう。

先に知っておいて欲しいのは、担当者は解約を思い留まらせようと説得してくる、もしくはすぐには解約できないなどと言って先延ばしにさせるなど、簡単には解約手続きをとらせてくれないかもしれないということです。

担当者にとって長期間の契約である個人年金保険を解約されることは、自身の収入に響いたりペナルティが発生したりと不都合だからです。

特に個人型確定拠出年金iDeCoの対象が2017年に拡大され、そちらへの乗り換えで解約する人が増えてきているのも事実ですので、なんとかして解約させまいと担当者も必死かもしれません。

ですが、自分の保険を解約するのも契約者の権利ですから、もし引き留めにあっても気にせず淡々と手続きしてもらいましょう。

どうしてものらりくらりと先延ばしにされるなど話が進まない場合は、直接保険会社の窓口に出向く、コールセンターに電話するなどして解約依頼することも可能です。

解約に必要なものは?

解約に必要なものは以下の通りです。

・保険会社から取り寄せた解約用書類
・保険証券
・契約時に使った印鑑
・本人確認書類(運転免許証、パスポートのコピー、マイナンバーカードなど)
・解約返戻金の振込先口座の通帳

解約の際の注意点

解約の理由を言わないといけない?

解約の際には必ず理由を聞かれることと思います。

なぜならその理由次第で、解約せずに済む方法や新しい保険を提案して、保険会社が損しないようにしようとするからです。

解約理由を曖昧にするとあれやこれやと引き留めが長くなるかもしれませんので、解約の意思がしっかりしている場合には、はっきりと理由を告げる方がよいでしょう。

解約返戻金はすぐ振り込まれる?

振り込まれるまでには3営業日から1週間ほどかかります。

すぐにお金が必要な方も、解約してすぐに振り込まれるわけではないので注意してください。

請求漏れはないか?

医療保障などの特約をつけている方は、入院保障などの請求漏れがないか確認してから解約しましょう。

解約してしまってからでは、請求漏れがあったとしてももう保険金を受け取ることができません。

解約したのに保険料が引き落とされた!

解約のタイミングによってはその月の保険料が引き落とされる場合があります。

あとで返金してもらえる場合もありますが、引き落とされると困る!という方は、いつまでに解約すれば今月の保険料引き落としに間に合うか、先に確認しておきましょう。

まとめ

個人年金保険の解約を考えた際に知っておいて欲しい、解約による損失やベストなタイミング、解約方法や注意点などを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

途中で解約するということは、基本的に損であることは間違いないですし、そもそも何のために保険をかけたのかということをしっかり考えてから、解約は最終手段として検討していただきたいものですね。

参考書籍:「個人年金を考えるならこの1冊」三田村 京

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