年金には個人年金と公的年金がありますが、この2つの特徴は全く異なっています。
「同じ年金だけど違いって何なんだろう?」
しかし個人年金と公的年金の違いをしっかり説明できる方は多くありません。
今後老後の資金を準備するには、個人年金と公的年金の両方の特徴をしっかり理解して、個人年金と公的年金の両方を活用する必要があります。
この記事には個人年金と公的年金の違いはもちろん、これから老後の資金を準備するためには、どのようにしていけば良いかを記載させていただきました。
きちんと公的年金には加入しよう!
個人年金と公的年金を比べると、公的年金の方が断然優れています!
サラリーマンや会社員、公務員の方はあまり当てはまらないと思いますが、自営業やフリーランスの方の中には
「公的年金に加入しないで、個人年金でなんとかしよう♪」
と考えている人が少なからずいます。
しかし、個人年金と公的年金を比べると、年金を受け取れる年数が多かったり、税金の優遇される額が多かったりと、公的年金の方が格段に優れているのです。
そして、そもそも公的年金に加入することは国民の義務ですので、加入しないという選択肢はないと思っておいてください。
公的年金は国が運営する制度
公的年金とは主に国が運営している制度で、国民年金と厚生年金に分けることができます。
国民年金とは、国民全てが加入している年金で、国民年金に加入していることにより、65歳から「老齢基礎年金」を受給することが可能です。
みなさんが老後にもらえると思っている年金はこの老齢年金のことを指します。
厚生年金は、サラリーマンや公務員が加入することができ、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取ることができるのです。
ちなみに自営業やフリーランスの方は厚生年金に加入することができないため、将来受け取ることができる年金は、サラリーマンや公務員の方よりも少なくなります。
生涯に渡って年金が受け取れる
公的年金で受け取れる年金は、自分がなくなるまでずっと生涯に渡って受け取ることができます。
2018年時点での年金の受給開始年齢は65歳で、以後は死亡するまで毎月年金を受け取ることが可能です。
加入は強制
公的年金は強制加入のため、20歳以上になると必ず加入しなければなりません。
ですので、基本的に加入しないという選択はないのです。
また、職業がサラリーマンか自営業かによっても加入できる選択肢が異なります。
サラリーマンであれば厚生年金に加入することになるので、将来受け取れる年金の額は多くなりますが、自営業の方は国民年金にしか加入できないため、サラリーマンに比べて受け取れる額が少なくなります。
拠出したお金は今の高齢者のために使われる
毎月支払う掛け金については、将来の自分のために回されるのではなく、現在の年金受給者つまり高齢者の方々に回されます。
つまり今自分が納めている公的年金の保険料は、今の高齢者の方々に仕送りされているというイメージです。
そして自分が、年金を受け取る年齢になったら、その時に公的年金に加入している現役世代の保険料で賄われる仕組みとなっています。
拠出したお金の分だけ税金の負担が減ります
1年間に公的年金に支払った金額の分だけ、社会保険料控除が適用されるため、所得税や住民税の負担が減ります。
所得税や住民税をいくら収めるかは、給与などの総収入から、控除と言われるものを引いて課税所得を算出し、そこに特定の税率をかけられて計算できるのです。
公的年金に支払ったお金は、社会保険料控除として、全額を総所得から控除できるため、よって控除された分だけ税金の負担が軽くなります。
遺族年金や障害年金を受け取ることができる
公的年金に加入している場合、65歳以降に受け取れる老齢年金以外にも、遺族年金と障害年金を受けとることができます。
遺族年金とは、公的年金に加入している人が亡くなった場合、残された家族に支給される年金で、支給額は家族の人数や、職業(サラリーマンか自営業か)によっても異なるのです。
障害年金とは、公的年金に加入している人が特定の障害状態になった場合に支給される年金です。障害の度合いによって支給額が異なります。
個人年金は、保険会社が販売している商品
個人年金は、保険会社などが販売している保険商品で、営利目的で販売されているものです。
年金を受け取る年数が決まっている
個人年金は公的年金と違って、年金を受け取る年数が決まっている有期年金である場合がほとんどです。
例えば、10年間の有期年金で、年金受け取り開始の年齢が60歳であった場合、60歳から70歳までの10年間、年金を受け取ることができます。
有期年金の場合、年金を受け取っている間に受取人が死亡してしまった場合は、年金の残額が遺族に支給されるので、損をしてしまうことはありません。
ちなみに終身年金にもすることができるのですが、あまりメリットがないためオススメできないです。
なぜなら終身年金の場合、平均寿命以上に生きないと損をしてしまう可能性が大きいから。
例えば、受け取り開始の翌年に亡くなってしまった場合は、以後の年金を受け取る権利は無くなってしまうため、すごく損してしまいます。
加入は任意
生命保険会社が販売している商品にすぎないので、もちろんですが加入するかしないかは自由です。
しかし、1番はじめにお伝えしたように、今後国からの年金だけ生活していくのは困難なため、できれば早いうちに加入しておきましょう。
拠出したお金は将来の自分のため積立てられます
支払った保険料は保険会社によって、毎月積み立てられ、そして運用されて増加していきます。
この時支払った保険料の全てが積み立てられたり、運用されるわけではなく、支払った保険料のうちいくらかは保険会社に「手数料」として徴収され、それが会社の運営費になったり収益になったいるのです。
公的年金のように、支払ったお金が今の高齢者のために仕送りされている仕組みではないため、完全に自分のために行う準備手段といえます。
支払った保険料に応じて税金の負担が減りますが上限があります
個人年金も税金の優遇を受けることができ、個人年金に毎年いくら支払っているかで、税金の負担が軽くなります。
しかし公的年金と違って、支払った保険料が全て総所得から控除されるわけではなく、控除できる上限が決まっているのです。
2018年現在で年金保険の場合は、最大で年間8万円の保険料を支払っていた場合に、最大で4万円控除されます。
つまり上限がある上に支払った保険料の半分程度しか控除されないため、公的年金に比べると税金の優遇は劣っていることは否定できません。
公的年金の方が優れている理由
以上の公的年金と個人年金の違いを見ていくと、公的年金の方が優れています。
理由は大きく2つあり、公的年金の方が⑴終身年金で受け取ることができる ⑵税金の優遇が大きいというメリットがあるからです。
これにより、公的年金は個人年金よりも長く受け取ることができ、税金の負担も軽くなるので、公的年金の方が総合的に見て優れています。
公的年金は国により運営されている制度なので、その制度の維持には、加入者が支払った保険料だけでなく、税金も使って運営されているのです。
ですので、1企業によって運営されている個人年金とは違い財務基盤がしっかりしているため、公的年金の方が仕組み的には優れています。
個人年金にも加入しなければ老後の資金を準備できない
では、公的年金だけ加入しておけば安心かというとそうではなありません。
これからは個人年金と併用しなければ、老後の資金を確保することが難しいと思ってください!
老後に生活していくための毎月の生活費は、最低でも毎月22万円、余裕のある生活であれば、毎月35万円ほど必要であると言われています。
出典:<生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成28年度>
このうち公的年金で賄えるのは、平成30年4月時点で老齢基礎年金が779,300円で、毎月にするとわずか64,941円程度です。
加えてサラリーマンや公務員の方場合は、厚生年金に加入しているため、老齢厚生年金も受給できるのですが、その受給額は、平均的な給与で、20歳〜60歳まで働いたとして、おおよそ毎月15万円前後の額になります。
個人年金に上乗せされる額は、契約した内容によるのですが、おおよそ5〜10万円を毎月受け取る契約にされている方が多いです。
しかし、個人年金は受け取る期間が決まっていることが多いため、老後の生活費を全て補えるものではありません。
そしてこれはあくまで現在の話で、将来、公的年金の受給額が今と同じであるとは言い切れないのも事実です。
公的年金の制度維持は徐々に難しくなっています
今後の日本は、少子高齢化が進み、65歳以上の人の割合が増加していくことは避けられない状況です。
公的年金は先ほど説明した通り、現役で働いている方からの仕送り方式であるため、将来は少ない人数で、高齢者を支えていかなければなりません。
国の公的年金が完全に破綻してしまう可能性は低いのですが、
・受給額が下がる
・受給開始の年齢が引き上げになる
・保険料が上がる
可能性はとても高く、最低限度の生活をしていくことすら難しい額しか支給されない可能性もあります。
個人年金に早めに加入すべき理由
以上の理由から、公的年金だけでなく、個人年金に加入して自助努力で将来の年金を準備する必要があります。
個人年金に加入する場合は、毎月の負担を減らすためにも、出来るだけ若いうちから加入しておくことが望ましいです。
なぜなら個人年金は、公的年金と違って積立方式のため、自分で毎月いくら支払っていくら積み立てられたかで、将来受け取れる年金の額が変わってきます。
単純に老後の資金として1000万円貯めたいとするならば、30歳〜60歳の30年間で貯めた場合、毎月の積立額は、27,000〜28,000円程度ですが、40歳〜60歳までの20年間で貯める場合は、毎月40,000円以上支払う必要があります。
後から始めるほど、毎月の負担が大きくなってしまうだけでなく、家庭がある場合は40代という年齢は最も子供の学費が必要な年齢と被る可能性があるのです。
40代から老後の貯蓄を始めようとするとうまくいかない可能性も否定できません。
自営業やフリーランスが老後の生活費を確保する手段3選
自営業やフリーランスの方は、厚生年金に加入することができないので、将来受け取れる年金はどうしても少なくなってしまいます。
しかし、悲観する必要はありません!
自営業の方も以下の方法で老後の資金を準備することが可能です。
以下の3つの掛け金は、全て全額所得控除となるため、税金の負担も減らすことができます。
国民年金の「付加年金」
国民年金に「付加年金」を付加することにより、追加で400円支払って、将来受け取れる年金の額を増やすことができます。
増える額は「200円✖️付加年金保険料を納めた月数」です。
例えば20歳〜60歳まで毎月付加保険料を納めると、全部で192,000円(400円✖️480月(40年))の保険料を払ったとします。
すると将来の年金の年額には年額には
200円✖️480(月)=96,000円上乗せされます。
支払った保険料は2年でモトが取れると、説明されていますが、それでも老後の生活費全てを補うにはまだ足りません!
また付加年金は、「物価スライド」という仕組みがないため、円の価値が変わっても、年金の額が変わらないという欠点があります。
国民年金基金
「自営業だけ年金の額少ないの納得いかない!」
という方は国民年金基金に加入することにより、老後の年金を増やすことができます。
掛け金の合計額は、最大で68,000円(iDeCo:個人型確定年金と合算)です。
ちなみに国民年金基金も物価スライドには対応していません。
小規模企業共済
「自営業だけど退職金欲しいなぁ」
と思っている方のために、小規模企業共済があります。
掛け金は1,000円〜70,000円の間で設定でき、急に資金が必要になった際は、貸付制度を利用することにより、資金を調達することができます。
iDeCoを活用して老後の資金の準備を
皆さんはiDeCoという制度を聞いたことがあるでしょうか?
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、公的年金と個人年金だけでなくiDeCoも活用しなければ老後の資金を確保することが難しいのが現状です。
というのも公的年金は今後制度の維持が難しくなっていくだけでなく、個人年金も現在の低金利の煽りを受けて、一昔前に比べて受け取り率がかなり低下しており、あまり魅力的な商品ではなくなっています。
iDeCoは自営業、サラリーマン問わず加入することができます!
iDeCoの特徴は運用先を自分で指定すること
iDeCoの最大の特徴は拠出した掛け金の運用先を自分で指定するということです。
公的年金や個人年金は、毎月支払った掛け金や保険料を、専門機関や保険会社が自分の代わりに運用してくれますが、iDeCoは自分で掛け金の運用先を選ぶ必要があります。
運用先は、債権や投資信託、株式などさまざまですが、うまく運用すれば年率3〜5%のバフォーマンスが期待でるのです。
オススメの投資先は、インデックスファンドを用いて、外国株式に投資することで、リスクをある程度抑えつつ高いリターンを期待できます。
掛金は全額所得控除される
iDeCoの掛け金は全額所得控除となるため、公的年金と同じくらい、税金が優遇される制度となっています。
ちなみにiDeCoの掛け金は自分で決めることができるのですが、一般のサラリーマン等の場合は23,000円(企業型確定拠出年金を導入している企業に勤めている人は12,000円)が上限で、自営業やフリーランスの方の場合は、68,000円が限度です。
iDeCoが存在する理由は国が「自分の年金は自分でなんとかしてね!」といっている証拠
このように国民にiDeCoへの加入を推奨している背景は、国も年金制度を維持していくのが困難であるということを認めているということです。
そしてiDeCoの優先順位は、個人年金よりも高いため、現在iDeCoも個人年金もされていないという方は、まずiDeCoから検討されると良いでしょう。
個人年金と公的年金の違いまとめ
このように個人年金と公的年金は、同じ年金でも全く違うものですが、両方を併用しなければ老後の資金を確保することが難しいです。
特に今後はこの個人年金と公的年金だけでなく、iDeCoなどの制度も活用しなければ、充分な額を貯めることはできません。
そして早いうちから、年金に対する理解を深めて、老後に後悔しないように貯蓄していくようにしましょう。
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