個人年金を受け取ったら確定申告は必要?申告の仕方や控除での節税方法も

個人年金を受け取ると、収入として税金がかかります。

給与などの収入は会社が源泉徴収してくれますが、個人年金の場合はどうしたらいい?確定申告は必要なの?と気になっている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、「税金は難しいから考えるのも嫌…」「確定申告のやり方なんてわからない!」という方にもわかりやすいように、確定申告が必要かどうか、申告の方法や確定申告での節税方法まで説明していきたいと思います。

個人年金を受け取ると税金がかかる?

個人年金は自分で積み立てたお金を自分で受け取るものですが、受け取る時に所得とみなされ税金がかかります。

ではどんな税金がどれくらいかかるのかを見てみましょう。

所得税か贈与税がかかる

個人年金にかかる税金は所得税か贈与税です。

どちらがかかるのかは、年金を受け取る人が誰なのかで違ってきます。

所得税になる場合

保険料を支払った人=年金を受け取る人の場合、一括で受け取ると一時所得、分割で毎月受け取る場合は雑所得になります。

所得税は受け取る年金の額から支払った保険料の分を差し引いて、利益になる部分だけにかけられるので、結果的に非課税になる方も多いです。

贈与税になる場合

保険料を支払った人≠年金を受け取る人(契約者が夫で受取人が妻など)の場合は受け取り初年度のみ贈与税がかかります。

これは年金の受給権利を譲渡されたとみなされるからで、利益分だけでなく年金全てが課税対象になります。

そのため、所得税に比べて贈与税は額が大きくなってしまいます。

特別な理由がなければ受取人は契約者本人にしておく方がお得ということですね。

個人年金受け取り時の所得税計算方法

では続いて年金に対する所得税の計算方法を見ていきましょう。

こちらは次の項の確定申告が必要かどうかに関わってくる部分ですので、数字が苦手な方も少しお付き合いくださいね。

一括で受け取った場合の一時所得の計算方法

年金総額-支払い保険料総額-特別控除(50万円)=一時所得

【35歳から60歳まで毎月2万円の保険料を支払い、60歳に一括で700万円の年金を受け取る場合】

年金総額700万円-支払い保険料総額600万円-特別控除50万円=一時所得50万円

分割で毎月受け取った場合の雑所得の計算方法

今年の年金総額-今年の年金分に当たる保険料=雑所得

【35歳から60歳まで毎月2万円の保険料を支払い、60歳から毎月6万円の年金を10年受け取る場合】

今年の年金総額72万円-今年分の保険料(年金額72万円×支払保険料総額600万円÷年金総額720万円=60万円)=雑所得12万円

この例の場合では、一括で受け取った場合はその年の一時所得として50万円が課税され、分割で毎月受け取る場合は毎年12万円が雑所得として課税されることになります。

個人年金を受け取ったら確定申告は必要?

個人年金を受け取ると税金がかかるということを先ほど説明しましたが、その額によって確定申告が不要な人もいます。

そもそも確定申告とは?

確定申告とは、1年間に得た所得に対して、支払わなければならない税金の額を税務署に申告することです。

確定申告は大きく分けて2種類あります。

税金を納めるための申告と、払いすぎた税金を返してもらう還付申告です。

納付は国民の義務なので忘れず申告する必要がありますが、還付申告は忘れていたからといって連絡がくるわけではありません。

ですが、申告しないと損をし続けることになるので、ぜひ還付申告も面倒がらずにしてみてください。

 

確定申告が不要な人

年金受給者に対しては「確定申告不要制度」というものがあり、要件は以下の通りです。

・公的年金などの収入金額の合計が400万円以下

・公的年金など以外の収入金額の合計が20万円以下

前項で計算した所得が20万円以下の場合は確定申告が不要ということになります。

また25万円以上の場合も、年金支払いの際に保険会社が源泉徴収したうえで支払うので、改めて収入を申告する必要はありません。

確定申告が必要な人

所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。

25万円以上の場合は源泉徴収されますが、保険料控除や医療費控除などを使える方は、確定申告することで多く払っていた税金を返してもらうことができます。

こちらは後ほど『確定申告で保険料控除を受けよう』の項で詳しく説明します。

確定申告しないとどうなる?

確定申告を忘れてしまったり、面倒だからと放っておいたりするとどうなるのでしょうか?

「税務署がいちいち個人の所得までチェックしていないだろう」と軽く考えていると大間違い!

保険会社からの支払い調書は税務署にも送られているので、税務署でもしっかりチェックされているのです。

ですので、申告が必要な額なのにしていないと、税務署から連絡がくる可能性があります。

きちんと申告期限までにしていないと、無申告加算税として15~20%増額されてしまいますし、申告が遅ければ遅いほど延滞税もかかってしまいます。

確定申告では控除なども受けられる場合がありますので、それらと合わせてしっかりと申告することを忘れないようにしましょう。

確定申告で保険料控除を受けよう

前の項でも少し触れましたが、確定申告は収入を申告するだけでなく、控除を受けて税金を返してもらうこともできます。

保険料控除

保険料のために支払っていたお金を、必要な経費として収入から減らしてくれるのが保険料控除です。

以下の条件に当てはまる保険の保険料を支払っていた場合、控除を受けられます。

・年金受取人が契約者または配偶者である

・年金受取人が被保険者と同一である

・保険料の払込期間が10年以上ある(一時払いは対象外)

・確定年金や有期年金の場合、年金受け取り開始日の被保険者が60才以上で、

年金受け取り期間が10年以上である

対象の保険は個人年金だけでなく、生命保険と介護保険それぞれで控除を受けることができます。

☆平成24年1月1日以降の契約の場合、個人年金・生命保険・介護保険が対象

・1種類で受けた場合の限度額:所得税4万円、住民税2.8万円

・2種類で受けた場合の限度額:所得税8万円、住民税5.6万円

・3種類で受けた場合の限度額:所得税12万円、住民税7万円

☆平成23年12月31日までの契約の場合、個人年金・生命保険が対象

・1種類で受けた場合の限度額:所得税5万円、住民税3.5万円

・2種類で受けた場合の限度額:所得税10万円、住民税7万円

3種類とも限度額まで控除が受けられれば合計19万円分所得から減らすことができるので、ぜひ忘れずに申告しましょう。

控除で節税!シミュレーション

ではどれくらいの節税になるか、実際にシミュレーションしてみます。

【年収500万円で、個人年金保険料を毎月2万円支払っている人の場合】

年収500万円だと課税される所得額(給与所得控除後の額)は、

500万円-154万円(収入金額500万円×20%+54万円=154万円)=346万円です。

課税所得額が330万円~695万円だと所得税率は20%なので、控除対象の4万円×20%=8,000円が実際に返してもらえる税金額になります。

※給与所得控除後の額の出し方と所得税率は国税庁のHPで確認できます

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

住民税は2.8万円×10%=2,800円で合計10,800円が節税できることになります。

1年間で10,800円と聞くとたいした金額でないように思えるかもしれませんが、この額が保険料を支払っている間、例えば10年間であれば合計108,000円もの節税になるのです。

また、年間10,800円÷12ヶ月=ひと月あたり900円ですので、毎月2万円の保険料が実質は19,100円で済むということです。

『個人年金受け取り時の所得税計算方法』の項で挙げた例で見てみると、

【35歳から60歳まで毎月2万円の保険料(これが実質19,100円になる!)を支払い、60歳から毎月6万円の年金を10年受け取る場合】

保険料控除を受けない場合:受け取る年金合計720万円に対して支払い保険料600万円、返戻率は1.2%

保険料控除を受ける場合:受け取る年金合計720万円に対して支払い保険料は573万円、返戻率は1.25%

このように返戻率は0.05%アップし、とてもお得に感じられますよね。

税金はきちんと支払わなければならないものですが、負担を減らすための控除という仕組みが色々とありますので、知らない・面倒くさいでは大きな損をしてしまいます。

どうせたいした額でもないだろうし‥と面倒がらずに、ぜひ控除の確定申告もしてみてください。

確定申告のやり方は?

では次は実際の確定申告のやり方を見ていきましょう。

サラリーマンやパートなどの給与がある方の場合

サラリーマンやパートなどの給与所得がある方の場合は、会社が源泉徴収や年末調整してくれるので確定申告は不要です。

控除で還付を受ける場合は、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を記入し、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を添付して提出するだけでOKです。

この「保険料控除証明書」ですが、10月頃送られてくるので、いざ提出する際に失くしてしまった!とならないよう、年末調整の時期までとっておいてくださいね。

年金受給者の場合

年金受給者は確定申告で所得を申告します。

必要書類

・確定申告書様式A

・支払い調書

・保険料控除証明書

支払い調書を見ながら数字を書き込むだけなので、難しく考える必要はありません。

提出方法

書類は税務署に提出するか、市町村の特設会場などでも提出できますし、郵送でも可能です。

直接提出する場合は、提出時に軽く必要記入箇所などチェックしてもらえますが、郵送の場合不備があれば返送されてくることになりますので、二度手間になってしまうことも。

直接出向く時間がない方は、インターネットe-Taxでも申告することができますので、そちらもおススメです。

また、添付書類を忘れてしまう方も多いようです。

提出前に必要書類が揃っているかの確認をお忘れなく。

申請期限

提出受付期間は、毎年2/16~3/15までです。(2019年は2/18~3/15まで)

期間が非常に短いですが、受付期間を過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?

期限を1日でも過ぎると、「期限後申告」とされ、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されてしまいます。

これらのペナルティは非常に高率なので、遅れれば遅れるほど高い税金をとられることになります。

申告は期限を過ぎないように早めに準備しておくことが大切ですね。

※条件を満たせば無申告加算税が免除される場合もあります

また、還付申告(税金を返してもらう申告)については、提出受付期間は関係なく、翌年1/1から5年間申請が可能です。

今回控除できることを初めて知った!という方は、数年前まで遡って申請することもできますよ。

その他確定申告の際の注意点

提出後に計算間違いや記入間違いなどに気づいた場合、どうすればいいのでしょうか?

その際は正しい内容の申告書を期間内に再度提出すれば、新しい日付の方が正式な書類とみなされるので大丈夫です。

もし申告期間内に間に合わなかったら、税金を多く申告してしまった時は「更生の請求」、少なく申告してしまった時は「修正申告」を行うことができます。

 

また、税金の納付を銀行振替にしていると、4月半ば頃に引き落とされるため納税が1ヶ月ほど遅くなるというメリットがあります。

ですがもし残高不足で引き落としできなかったらどうなるのでしょうか?

クレジットカードの引き落としなどはたいてい再引き落としされるので、またお金を足しておけばいいやと思ってしまいがちです。

しかし税金は再引き落としされないので、残高不足で引き落とされなかった場合は金融機関の窓口で納税しなければなりません。

引き落としできていないと、翌日から延滞税がかかっているので、気づくのが遅れると予想外に高い金額を納税するハメになってしまいます。

振替にしている方は注意してください。

まとめ

以上、個人年金を受け取ったら確定申告が必要なのか?という疑問について詳しく説明してきました。

所得税の計算方法から、確定申告が必要な人・不要な人、申告のやり方から控除での節税シミュレーションなど、確定申告で必要な情報は一通り知っていただけたかと思います。

確定申告は難しい、というイメージがあったかもしれませんが、所得税などの計算も計算式を当てはめるだけですし、書類の記入もほとんど数字を写すだけなので、やってみれば意外と簡単だった!と感じられると思います。

控除など知らないと損をしてしまうので、ぜひこれらを参考に申告してみようと思っていただけたら幸いです。

参考書籍:「個人年金を考えるならこの1冊」 三田村 京

「自分ですらすらできる確定申告の書き方」 渡辺 義則

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