個人年金を受け取ると税金がかかる?プロが教える計算方法とシュミレーション

公的年金があてにならなくなってきている近年、個人年金保険で老後のお金を準備している方も多いかと思います。

ですが実は、個人年金の受け取りの際に税金がかかることを知っていますか?

年金を受け取る人や受け取り方で税金の種類が変わってくるので、何も知らずにかけていると、いざという時に「余計な税金がかかってしまった!」となってしまう可能性も。

せっかく長い期間払い続けたお金ですから、税金についてもしっかり理解して、損をしない受け取り方をしたいですよね。

ここでは個人年金保険の税金について、受け取り方や受取人での違い、税金の計算方法とシミュレーション、また保険料での節税など、税金で損をしないためのアレコレについて説明していきます。

個人年金保険とは?

個人年金保険は保険料というかたちで毎月お金を払い、一定期間積み立てたお金を老後に一括または毎月年金として受け取るものです。

通常の貯蓄より保険料というかたちで支払うため強制力があり、無理なく貯めやすいこと、払い込んだ保険料より数%多い金額を年金として受け取れることなどから、老後の資金準備として多くの方が加入しています。

ここでは具体的に、個人年金保険の例を3つ挙げてみましょう。

①10年確定年金

40歳から65歳まで毎月20,000円の保険料を払い込み、65歳から10年間毎月60,000円ずつ年金を受け取る
※合計保険料は6,000,000円 年金総額は7,200,000円

②10年保障期間付終身年金

40歳から65歳まで毎月56,000円の保険料を払い込み、65歳から毎月50,000円一生涯年金を受け取る(10年間の保障期間付なので75歳までに死亡した場合は残りの期間遺族に支払われる)
※合計保険料は16,800,000円 10年間で受け取れる年金額は6,000,000円
元をとるためにはかなり長生きしなければならない

③終身年金

40歳から65歳まで毎月60,000円の保険料を払い込み、65歳から毎月50,000円一生涯年金が受け取れる(死亡した時点で年金支給は終了)
※合計保険料は18,000,000円、10年間で受け取れる年金額は6,000,000円
保障期間もないため、相当長生きしなければかなりの損になる

などいくつかのパターンがあります。
確定年金は安い保険料でしっかり年金が受け取れますが、長生きすると支給が終わってしまいます。
終身年金は相当長生きしなければ損になりますが、平均寿命が年々延びてきている今、最後の時まで安心して過ごしたいと願う方には向いています。

個人年金の受け取り時に税金がかかるの?

個人年金受け取り時にかかる税金の種類は、所得税か贈与税の2パターンです。
この税金の種類の違いは、年金を受け取る人が誰かということで決まります。

保険料を支払う人が受け取る場合は所得税

契約者(保険料を支払う人)が夫、年金の受け取りも夫など、お金を出す人と受け取る人が同じ場合は所得税の対象になります。
また、受け取る方法が年金形式か一括かで所得税の種類が違います。

年金形式で受け取ると雑所得

雑所得とは、受け取る年金額から支払った保険料などの必要経費を引いた額なので、受け取る年金額全てが所得になるわけではありません。
この雑所得が年間25万円以上の場合は保険会社から10%源泉徴収され、(他の所得と合わせた合計額が)25万円未満の場合には所得税はかかりません。
収入が年金だけの方であれば25万円を超えることはほとんどありませんので、税金がかかる可能性は少ないでしょう。

一括で受け取ると一時所得

個人年金を一括で受け取る場合は一時所得になります。
こちらは受け取る年金総額から支払った保険料の総額を差し引いて、さらにそこから特別控除の50万円を引くことができます。
雑所得の場合もですが、受け取る年金そのものに税金がかかるのではなく、受け取る際に出た利益の部分だけが課税の対象になります。
そのため、一括受け取りする場合も、利益が特別控除の50万円より少ない保険であれば税金はかからないということになります。

保険料を支払う人と受け取る人が別人の場合は贈与税(翌年からは所得税)

契約者(保険料を支払う人)が夫、受け取る人が妻というような、お金を出す人と受け取る人が別になる場合には、受け取り初年度は年金の受給権を贈与したとみなされ贈与税の対象になります。
そして翌年からは雑所得での所得税の対象となります。
贈与税の場合は年金受け取り額(評価額)全てが課税の対象となるため、所得税の利益分のみとは違って課税対象が大きくなり、その分税金も高くなってしまいます。
ではそれぞれどれくらいの金額になるのか、実際にシミュレーションしてみましょう。

受け取り時の税金シミュレーション

続いて、実際に税金を受け取る際の税金をシミュレーションしていきます。

保険料支払う人=年金受け取る人(所得税)の場合

年金形式で受け取る場合(雑所得)

計算式は次のようになります。
今年の年金総額-今年の年金分に当たる保険料=雑所得
上記の10年確定年金に当てはめてみると、
今年の年金総額(60,000円×12ヶ月=720,000円)-今年分の保険料(年金額720,000円×支払保険料総額6,200,000÷年金総額7,200,000円=620,000円)=雑所得100,000円
となります。

年金額720,000円-支払保険料620,000円=雑所得100,000円
課税対象額は100,000円ということになります。
※終身年金などは計算方法が変わります

一括で受け取る場合(一時所得)

一括で受け取る場合の計算式
年金総額-支払い保険料総額-特別控除500,000円=一時所得

年金総額(7,200,000円)-支払い保険料総額(6,200,000円)-500,000円=一時所得500,000円
課税対象は500,000円になります。

保険料支払う人≠年金受け取る人(贈与税)の場合

贈与税の計算には年金の評価額が必要ですので、実際に計算する際は保険会社に確認してください。
評価額7,000,000円-贈与税基礎控除1,100,000円×30%-控除額650,000円=贈与税1,120,000円

贈与税ではなんと1,120,000円が課税対象額となってしまいます。
そして2年目からは所得税がかかるため、かなり高額の税金がかかってしまうことがわりますね。

解約返戻金にも税金はかかるの?

年金受け取り時にかかる税金について見てきましたが、もう一つ税金がかかる可能性のあるものがあります。
それは途中で解約した場合の解約返戻金です。
保険によって違ってきますが、払い込みが完了していない時点で解約するとほとんどが返戻率100%未満となり、元本割れしてしまいます。

払い込みが完了してからであれば100%を超えて返戻金が戻ってくることもありますが、その場合は100%を超えた利益の部分に税金がかかります。
ですが、一時所得の場合も50万円の控除があるため、解約返戻金で税金がかかることはほとんどないと言えます。

損をしない受け取り方のポイント2つ

実際に金額を当てはめてシミュレーションしてみましたが、これらの結果から損をしない受け取り方が見えてきたかと思います。
ポイントは2つ。

年金受取人は契約者と同じにする

受取人が妻など契約者と別であるだけで、贈与税という大きな税金がかかることがわかりましたね。
現在受取人が契約者と別になっている場合、途中での受取人の変更も可能ですので、検討してみてもよいのではないでしょうか。

ただし受取人を変更しても、変更前までの分には贈与税が課せられます。
ですがまだ払い込みの少ないうちに変更しておいた方が、後々かかる贈与税に比べれば少額で済みますので、変更は早いうちがおススメです。

途中での解約は極力しない

せっかく老後のために積み立ててきたのに、中途解約で元本割れしてしまっては元も子もありません。
ですが、「どうしてもまとまったお金が必要になった」、「保険料を払い続けるのが苦しい…」など解約せざるを得ない状況もあるかもしれません。

そんな時にも解約せずに済む方法が3つあります。

契約者貸付

保険契約者は契約者貸付でお金を借りることができます。
返せる目途がある場合は、一時的に利用を検討してみてはどうでしょうか。

自動振替貸付

保険料が払い込まれなかった時に自動的に貸し付けてくれる(解約返戻金の範囲で)制度もあります。ですがあくまで貸し付けですので、利息がかかることをお忘れなく。

払済保険

もし今後ずっと保険料を払うことが難しいという場合は、払済保険に変更することもできます。
払済保険にすれば、保険料の支払いはなくなり、受け取り額は予定より少なくなりますが元本割れすることなく、年金を受け取ることができます。
解約して元本割れした返戻金を受け取るよりは、今まで支払った保険料に少しでも上乗せされた年金を受け取れる方がお得ですよね。

このように、保険料の支払いが苦しい時でも解約せずに済む方法もありますので、解約は最後の手段として、極力しないようにすることが大切です。

一括で受け取るか年金形式で受け取るか、に関しては一概にどちらがお得とは断言できません。

上記のシミュレーションでは一括の場合は課税額が一時所得として50万円、年金の場合は雑所得として10万円とでていました。
一括で受け取って一時所得として課税されれば、その後税金がかかることはありませんが、年金形式の場合は毎年10万円が雑所得として課税されることになり、単純計算では10万円×10年間=100万円課税されるの?と思われるかもしれません。

ですが、一括よりも年金で受け取る方が返戻率は高く設定されていて、受け取り年金総額は年金形式の場合の方が多くなります。

そして税金に関してもその他の所得と合わせた合計額で課税されるので、他の所得がどれだけあるかで、年金分の税金が非課税になるかどうかが変わり、一概には言えないのです。ですので、受け取り方については返戻率をしっかり確認して、自身の所得全体と合わせて考えることが必要です。

個人年金を受け取ったら確定申告は必要?

個人年金を受け取る際にかかる税金について見てきましたが、では確定申告は必要なのか?も気になるところかと思います。

確定申告が必要な場合、不要な場合

確定申告が不要な場合とは、
公的年金などの年間収入が400万円以下で、それ以外の収入が20万円以下
となっています。

契約者=受取人の場合は、利益分が25万円以上の場合は源泉徴収されているので、確定申告は不要、20万円超25万円未満の場合のみ必要ということになります。
また、契約者≠受取人の場合は源泉徴収されないので、20万円を超える際は確定申告が必要になります。

申告が必要なのにしなかった場合はどうなる?

年金受け取りの際に税金がかかることを知らない方や、またすっかり忘れていた!という方も多いかもしれません。
もし申告が必要な額だったのに、申告しないままでいるとどうなるのでしょうか?

実は保険金が支払われる際には保険会社から税務署へ支払調書というものが送られていて、税務署は個人がいつどのように保険金を受け取ったのか把握しています。
そのため、うっかり忘れていただけであっても、後日税務署から連絡が入って追徴課税として多く税金を支払うはめになってしまった…ということもないとは言えないのです。
個人年金も所得であることを忘れずに、受け取りの際にはしっかりチェックしてくださいね。

個人年金の税金に関わるその他の注意点

次は個人年金の税金に関して、見逃しがちなその他の注意点について紹介します。

妻が受け取る場合配偶者控除が受けられなくなることも

パート収入のある妻が受取人の場合は、金額によっては配偶者控除の対象から外れてしまう場合があります。

例えばパート収入が年間100万円の妻が、年間70万円の年金を受け取る場合

配偶者控除の要件:年間所得が38万円以下
配偶者特別控除の要件:年間所得が38万円~76万円未満
※年間所得とは、給与所得控除の65万円を差し引いた後の金額です

保険料が60万円とすると、年金70万円-保険料60万円=雑所得10万円
パート収入100万円+雑所得10万円-給与所得控除65万円=45万円となり、所得が38万円を超えてしまうことになります。

この場合配偶者控除は対象外となり、控除額は減ってしまいますが配偶者特別控除の対象になります。
普段配偶者控除の範囲内ギリギリでパート収入を調整している方は、このように年金の受け取りによって対象外となってしまうことがありますので、事前に雑所得がいくらくらいになるのか計算しておいた方が安心ですね。

保険料控除で節税できる

こちらは受け取りの際の話ではないですが、保険料を払い込んでいる期間は確定申告をすることで所得税を節税することができます。
個人年金保険料控除を受けることで、支払った保険料の分だけ所得から差し引いてもらえるので、その分所得が減ったことになり、所得税の節税になるのです。

サラリーマンは年末調整で会社が手続きしてくれますから、保険料控除証明書を提出するだけで大丈夫です。
自営業の方は忘れずに確定申告しましょう。
ちなみに保険料の一時払いや変額年金、5年確定年金などは控除の対象外となりますので、注意してください。

まとめ

以上、個人年金を受け取る際にかかる税金について、シミュレーションしながら受け取り方のポイントを見てきました。
せっかく積み立ててきた大切な年金の受け取りで、知らずに損をしてしまってはもったいないですよね。

受け取る前や加入検討の際にも参考にしていただければ幸いです。

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